こいろり!
「まぁ、ホワイトタイガー可愛いわ!」
「すっげー、肉食だぞ?」
「だって、見て?あの肉球!堪らないわ!」
「あー、そうですか」
俺には獲物を前にしたサバンナの肉食動物にしか見えねーけど。
「……だってしょうがないじゃない。平日だから人も少ないしちょっと位騒いだって問題ないでしょう?それに、久し振りなんだもの」
「まぁ、牙と爪、確かにすげーよな」
華花が、ぷぅと頬を膨らませるからそう口にすれば、「でしょう?」と手を合わせて笑顔になるからパッと顔を反らした。
「ねぇ、次はここに回りましょうよ?」
「ん、んぁ……?は、離せよ」
華花がパンフレットを見ながら俺の腕を引っ張って、そのまま歩き出すからその手を振り払ってしまう。
何気に女子と2人きりで出掛けるの、はじめてだからちょっと緊張しているのも事実。
「どうして?はぐれたら困るでしょう?」
眉を下げてショボンと俺を見上げる華花に、美魔女の"優しい思い出"の言葉が頭に過る。
「あぁ?…………分ーかったよ!!」
恐る恐る小さな手を握ると、華花の大きな瞳がより一層見開かれた。