こいろり!
「つ、つーか、そういや周は?今日ここまで送ってくれた運転手、周じゃなかったよな?」
「周は今、バンコクに行ってるのよ。今はママが家にいるし。だから、パパの方の仕事の調整に入っているみたいよ」
「ふーん」
それ明らかに、華花の学校の手続き関係じゃね?
華花は周が外国に行っている事に疑問を抱かないのか。
そもそも、今までだっておかしな状況だったんだ。
こいつの性格から「泰良と離れたくないわ!」とかなんとか我が儘言っちゃってさ。日本《こっち》残る可能性だってある気がするんだけどな。
「ねぇ、泰良。次は遊園地の方に行ってみたいわ!動物は一通り見たし」
「お、おぅ……」
「私ね、実はジェットコースターに乗ったことないのよ!」
「あぁん?お前さー、 前に自転車の後ろでギャーギャー言ってたのに乗れんのかよ!?」
「の、乗れるわよ……た、多分。泰良となら」
急に自信を無くした華花の目が泳ぎ出すから、面白くて、ついからかってやりたくなる。
「おー、言ったな。お嬢様に二言なしだからな?」
「わ、分かったわ。はじめては……、泰良と一緒がいいのよ」
「はいはい」
長い髪を上からガシガシと撫でると、鼻を真っ赤にさせて笑う華花がいた。