こいろり!
「ふふっ、デートみたいね!」
「無理あんだろ。兄妹だろ?」
「雰囲気、壊さないで!せっかく楽しんでいるのよ」
華花が、"ぷー"と頬を膨らませながら俺の頭に手を置いた。
「ふははっ、ふて腐れんなって」
「あら、根元は黒なのね」
「そらそーだわな」
小さい指先が、俺の髪をくるくると丸めて梳かしていじり出す。
その華花の表情が楽しそうだから、なんだかくすぐったい様なもどかしい気持ちになっていく。
お嬢様は気分も顔もころころと変わるなー。
ふと、こいつの長い髪の毛が頬に触れた。
ふわふわして、柔らかくて、くすぐったいな。
手を伸ばすと、華花の顔にすぐに届いた。
そのまま、プニプニといじり軽くつねって団子を作ると頬に赤みが増していく。
面白ーなと何度も繰り返せば、華花の手によってその行為を止められた。
「もう!人の顔で遊ばないでよ!」
「わりーわりー。華花のほっぺた柔らかいなー。マシュマロみてーだな」
顔が赤いのは、俺がつねったからか?
それとも、照れからきてるのだろうか──?
「悪いなんて、思ってないでしょう?」
「ははっ、そらなー」
「た、泰良はずるいわっ……」
お嬢様が上半身を倒して、俺の顔を覆うように体を乗せてくるから。視界がぼんやりと暗くなる。