こいろり!
「…うぅっ、悲しいわ。なんでこんなに悲しいことだらけなのかしら」
「……うん」
「お、おばあさまが死んじゃって、悲しいわ。せ、せっかく笑ってくれたのに、華って、華って呼んでくれたのに……」
本格的に泣き出してしまった華花は、鼻を啜りながら言葉を吐き出していく。
「わ、忘れられても、もっと、一緒に笑っていたかったのよ」
慰めかたなんて分かんねーけど、手を伸ばして華花の涙を拭ってみた。
でも、どんどんと零れていって、華花自身も瞼を何度も擦るから赤くなっていくのが分かる。
「う、嘘もついちゃったしー。泰良と恋人だってー」
「……あー、」
「バンコクなんか行ったら、泰良とも会えなくなっちゃうわ」
「……」
「璃香子とも、せっかく仲良くなったのに、赤ちゃんにだって会いたいのにぃー……ど、どうして今なのよ……?」
「……うぐっ、だからなんで俺の顔を潰すんだよ!」
華花が俺の顔面を両腕で押してくるから、その小さな腕を掴んで上半身を起こした。
「ううぅ、ううっ……っひく、な、泣きたくなんてなかったのに今日は笑っていようって決めていたのにぃ……」