こいろり!
こんな状況に周りの家族連れにチラチラと目を向けられる。見んじゃねーよ!と威嚇するけど。
ったく、一体、俺にどうしろっていうんだよ。華花はどうして欲しいんだ?
俺は周みたく大人じゃねーし、ハンカチも持ってないし、家まで送ってやれる車だってない。
「おい、泣き過ぎ」
「……だ、だってぇ」
「どうすれば、泣き止むんだよ?」
「……な、なによぉ、そんなの…………きゃっ!?」
アウターのジップを開けて、その中に華花の顔を押し込むよう背中に手を回した。
「お前のその泣きっ面のぶっ細工な顔、見てらんねー」
「……泰良、ひ、どいわぁ……」
頭を乱暴に撫でながら、反対の手で背中をぽんぽんとなだめるように叩いてみる。
胸の中の華花は温かいし、どっちの心臓か分かんないけどドキドキ聞こえてくるし。
なんだよ、これ。
マジでどうすればいーか分かんねーよ。
「ば、ばあさんはどうしようもねーよ。けどさ、嘘ついたからって怒るのかよ?お前のばあさんはさー」
華花が頭を左右に小さく振って、俺の服にしがみつく手が震えた。