君は,君は。
うっ。

まさに痛いところをつかれた。



「俺,小説あんま読まねぇの。そっちにしてくんない?」



瑞希は「俺ら趣味合うっぽいしな」と笑う。

あ……

ほんとだ。

ちょっと,嬉しい…



「じゃあ,あれとかどう?」

「どんな話?」

「ちょっと切ない感じの恋愛。結構バリバリの恋愛小説のサイトから来てるんだけど,これなら男子も普通に楽しめると思う」




読み終わったあとにあの綺麗な表紙を見るとまた泣けてくるんだよね……

説明すると,瑞希は「へぇ」と興味を引かれたようだった。

私は



「人気で書籍化してるから,その他大勢のお墨付き!」



と最後の一押しをする。



「唯は?」

「えっ」



私の意見とか,聞いてくれるんだ。



「私も,お墨付き」



ちょっと照れる。  



「じゃあ買う!」



瑞希は即答して,にぱっと笑った。

ふと目に写る階段。

2階は雑貨屋になっている。

雑貨…か。

…あ!?
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