君は,君は。
「なに,買ったの?」



ウウィーンと開くドアを潜りながら,私は瑞希に訊ねる。

瑞希は



「お菓子の詰め合わせ。あと前飲むって言ってたから,なんか可愛い紅茶のティーバッグにした」



と答えたあと



「やっぱ消耗品がいいかと思ってさ。向こうも急だとビビるかもだし…」



そんな風に言った。

私はそんな瑞希を不憫に思ってしまって,梨々香からの返信はまだかとそわそわする。

人の恋を不憫がるなんて……

私はいったい何様なんだろう。

そう思っても,やっぱりスマホから意識を外せない。

でも,やっぱり。

どれだけ難しくても,梨々香の気持ちも考えてくれるような瑞希だから,今すぐじゃなくてもいいから報われて欲しいと思っちゃう。



< 47 / 89 >

この作品をシェア

pagetop