君は,君は。
「っがぁ~もう! 無理だろこれ……」



数時間後,眉を下げた瑞希の声が部屋に響く。

床にどすっと仰向けになる音を聴いて,私はふふんと笑った。



「なんかムカつく…」



え……

ふぉおわ!?

ムッとしたかおで私の腕を引いた瑞希。



「はんっざまみろっ」

「も,もぉ~なにすん…あははっ」



瑞希と同じく横になって,なんだかすごくバカらしくなる。

したり顔の瑞希と顔をあわせて笑った。

一通り笑うと,瑞希と目がパチリあう。

冷静になったと言うのが正しい。

いやちっか!?

一瞬にしてカアアァァアと頬を染める私に対して,瑞希は顔を反対方向に体ごと向けた。



「その,わり…っ」
< 53 / 89 >

この作品をシェア

pagetop