君は,君は。


「へえ? まぁ聞かなくても分かってたから唯は悪くないよ」



信じてないし。フォローまでいれられる始末。

梨々香,前は忘れてたし,重ねてごめん。

そんなことで許されるとは思ってないけど,誕生日プレゼント,ちょっと豪華にするね。

私は心のなかで手を合わせた。



「なんでそう思うの?」



あくまで認めない私。

梨々香のためとは言え自分でも往生際が悪すぎる。



「だって梨々香最近あいつの話ばっかだし。気づいてる奴は気づいてるよ」



だって,梨々香。

私はあははと苦笑した。



「もう3分経ったんじゃね?」



不意に瑞希が視線を落とす。

言われてみてぺりぺりと蓋を剥がすと,ほんの少しだけ麺が延びていた。
< 59 / 89 >

この作品をシェア

pagetop