君は,君は。
あっ。

私はハッとした。

瑞希の真意に気づいてしまったから。



「大丈夫だよ。大丈夫! 確かに,私はダメだったけど。瑞希は違うもん! 今も頑張ってるでしょ? だから頑張って!」



卒業近いし,不安だったんでしょ?

やっぱり私が教えたことも,ほんとは堪えてたのかもしれない。

なんとなく思ってるのと人に言われるのって違うから。



「ん,ありがと」



嬉しそうに笑った瑞希を見て,私はホッとしたのか,それとも傷ついたのか。

両立しないはずの気持ちが一ヶ所にあるのって,気持ち悪い。

すごく泣きたくなるから。



「俺,ちゃんと近いうち告る」



ーガンっ



「うんっファイト!」



こういう時の笑顔が嘘になっちゃうの,嫌いだな。

悲しい。
< 73 / 89 >

この作品をシェア

pagetop