君は,君は。
誰か探してる?

私はつい足を止めてしまった。

私は一歩ずりっと足を踏み出して……

瑞希がどこかに行こうと片足に力をいれて,走り出そうとしてしまう。

あ…っやだ,ちょっと待って。

釣られて私も小走りでついていく。

どこ行くの,待って。

私はまだ…

ついていけば行くほど,瑞希は焦るようにして走った。



「はぁ,はっ…っ」


私じゃ追い付けなくて,気づいたら本気で走っている。

なんだ,やっぱり最初から決まってるじゃん私。



「~っ瑞希!」

「え」



私が呼ぶと,瑞希は片足を軸に急ブレーキをかけながら振り返った。

なんなの。もう。

そんなに急いじゃって。

こんな人のいない方まで来て誰を探してるの。

諦められないとか言わないでね。

言うなら後にして。

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