君は,君は。
「私,楽しかった。あそぼって誘ってくれて,嬉しかったから。それにほら,これも,くれるんでしょ?」



だから大丈夫。

ちゃんと伝わったことだけ分かれば。



「じゃ,あね! またいつか電車の中ででも」

「まっ……ちょっまだ」



私は背を向けて走った。

瑞希が何を言おうとしたのかは分からないけど,安い慰めなんて要らない。

泣き顔なんて,見せたくない。

どうせ追ってまでは来ない。

私はそう思って,なりたがるのどに任せて目から雫を落とす。



「待てって! 唯!」

「え」



なんで,またここに…

まさか,追いかけてきたの……?



「な,んで泣くんだよ」

「だって」



分かってよ。



「……前も」
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