儚く甘い
目を覚ますとあたりは少し暗くなっていた。

ふと顔を上げるとそこには、腕を組んで眠っている男がいた。

みわはそっと体を起こして、自分にかけられている上着を男にかけようとする。

『ガシッ!』
咄嗟にみわの手を握った男が目を覚ました。

お互いに驚いて、時が止まる。


「悪い、夢見てた。」
そう言って手を離す男。
手にもったままになっている男の上着を、どうしようかと思いながらみわが固まっていると、男はみわの手から自分の上着を少し乱暴に預かると立ち上がった。
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