儚く甘い
「大切なバイクに乗せてくれてありがとう」
「どういたしまして」
お互いに視線を合わせたまま時が止まったかのように感じる達哉。

「お待たせしましたー」
店員の声に二人は視線をはずした。

「で、どうしてここなんだ?」
食べる前に長い髪を束ねているみわに達哉が聞く。
「お父さんが好きだったの。ラーメン。」
「・・・」
「だからか、お父さんが亡くなってから家族で食べること、無くなっちゃって。」
みわはラーメンに視線を向けたまま答えると「いただきます!」と勢いよく食べ始めた。
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