儚く甘い
「死ぬかもしれないの」
「・・・え?」
「みわ?」
一気にその場の空気が変わる。

「飲む薬も、点滴も量を増やしたのに、効果がどんどんなくなってて、薬が効かなくなると私の病気は進行していくだけ。両手足が動かなくなったり、呼吸困難になって最後は苦しみながら死んでいく病気なの。」
「・・・」
「私のお父さんも同じ病気だったけど、どんどんなくなる前は痩せていったんだって。私、この1か月で4キロ体重が落ちてる。食べようとしても食べられなくて、手に違和感も感じ始めてる。」
「・・・」
「みんなが就職の話を聞いてる時、何考えてたと思う?」
こういう空気になるから今まで言わずに来た。
悟られないように必死で繕って来た。
弱さを見せないように、虚勢を張ってきた。
< 165 / 356 >

この作品をシェア

pagetop