儚く甘い
そこには達哉が立っていた。

みわは我慢していたものがあふれ出しそうになって、顔が少しゆがむ。
「みわ、いくぞ」
ポケットに手を入れたままの達哉がみわに声をかける。

「ほら」
これ以上、みわの口から誰かを攻撃するような言葉が出ないように、達哉はさえぎろうとしてくれている。

達哉はわかっている。
誰よりもその言葉で攻撃を受けるのはみわ自身だ。
自分の言葉で、一番傷つくのはみわ自身だと。

みわは達哉の方に向かい、駆け出す。
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