儚く甘い
ただ、今みわを離したくない。
一緒にいたい。

時間が限られているのなら、離れたくない。
一秒だって無駄にしたくない。

達哉は考えをとめるように目を閉じる。
自分の胸の中で震えるみわを抱きしめ、そのぬくもりに集中する。

やがて、みわの体の震えがおさまり、少し体を離した時、達哉は思わずもう一度抱きしめて自分の胸の中に閉じ込めた。

「あと少し」
こんなことを自分の口から言うなんて、思ってもみなかった。

達哉の言葉にみわはもう一度達哉の胸の中に戻り、達哉の背中に手をまわす。
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