儚く甘い
5日に一度の点滴治療を受けた後に、みわは熱を出すことが続いている。
治療を受けた直後から体の倦怠感を感じていたみわ。
それが翌日になると発熱するようになった。

「それだけ体に入った成分に対しての抵抗をしてるんだろうな。」
製薬会社で新薬の研究をしている裕介は妹の状況を見て、深刻な顔になる。

「じゃあ、俺一回病院に行って、点滴持ってくるわ。その間、裕介いられるか?」
「あぁ。大丈夫。母さんもいるんだろ?」
「うん」
「裕介もいたほうが何かと心強いわ。」
母も、みわの状態が日々変化していて、何が大丈夫で何がだめなのかの判断がつかなくなっている。

「じゃあ、すぐ戻るから。」
隆文が妹の頭を撫でてから、部屋を出ようとすると、みわが「ごめんね」と小さな声でつぶやいた。
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