儚く甘い
みわはせっかく約束したデートの話がなくなってしまうのではないかと不安になる。

『桜、散る前に治せ』
電話の向こうから聞こえたのは達哉の優しく心地よい声。

「・・・うん」
その声に少し泣きそうになる。
『待ってる』
「うん」
何よりも今のみわに希望になる言葉。
何よりもうれしい言葉。

みわの体調を考えて、達哉はすぐに電話を切った。
でも十分だ。
そのくらい、幸せで満たされた気持ちになる。
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