儚く甘い
朝から鏡の前で何やら格闘しているみわ。
そんなみわを母は微笑ましく見ている。

「何かあったら連絡しろよ?どこでも迎えに行くから。」
「うん」
兄から声がかかっても心ここにあらずな返事を返すみわ。
「どこに行くか決まってるなら、俺も行こうか?」
冷やかすように言うもう一人の兄。
「裕介はただ見たいだけでしょ?イケメン君、うちにお迎えに来てくれるらしいから、見れるわよ」
母の一言で兄たちは慌てて、身支度を始めた。

いつもはスーツを着ない裕介までスーツを着て髪を決め始める。
隆文は達哉が来るかなり前から玄関の前で仁王立ちして待ち構えている。

「恥ずかしい」
兄たちの姿にみわが母の隣で、あきれていると、母は嬉しそうに笑いながらみわをみた。
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