儚く甘い
「俺もあきらめたくないですから」
力強い達哉の言葉に、みわの母は微笑む。

病気はみわを選んだ。
その運命をみわ以上に呪ったみわの母。
でも、病気に選ばれてしまったみわは、達哉という素敵な出会いを得た。

悲観ばかりしていた娘の人生に、光がさしたようで、みわの母は心から達哉という存在に感謝をしていた。

「ありがとう」
みわの母はもう一度達哉に頭を下げてから、二人にいつものように行ってらっしゃいと手を振って、車に乗り込んだ。

「行こうか」
達哉はいつものように、みわの手をとり歩き出す。
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