儚く甘い
達哉は自分の荷物と一緒にみわの荷物も持ちながら、みわと手を繋いで歩く。
大学の中にある段差や階段ではみわの肩を抱き、がっしりと転ばないように支えてくれる。

大好きだった屋上への階段も、今のみわにとってはリハビリのように厳しい道のりになった。時々、屋上に行くことをみわが嫌がることがある。そんな日は体がつらい日だとわかっている達哉はみわをおんぶして屋上まで運んだ。

「今日は調子いいじゃん」
朝、みわの顔を見ただけでその日の体調が分かる達哉。
「うん。昨日点滴したから効いてるのかも。」
「明日、検査があるんだろ?」
「うん。今夜から入院して検査するから、連絡あんまりできないかも。」
「了解。」
「バイト?」
「あぁ」
「頑張ってね」
「おう。」
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