儚く甘い
不意打ちで抱き上げられたみわは、焦りながら卵焼きを飲み込む。
『コホッ』
慌てすぎてむせるみわに、達哉はいつのように水を渡す。
もちろん、ボトルのキャップを外してある。
「ほら」
みわが手を出しても達哉はペットボトルを離さない。

手を添えたまま、みわの口に水を運ぶ。

握力が弱っているみわ。
今はペットボトルを握ることが難しい。

「大丈夫か?」
微笑みながらみわの背中をさする達哉。

こうして触れられると、今でもみわはどきどきしてしまう。
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