儚く甘い
「まだまだだな。卒研進めるために、新聞配達のバイトに絞ろうかと思ってる。」
「そっか」
達哉は父親から家族カードを預けられている。
生活費や大学の授業料はそこから支払うようになっている。

でも、極力そのお金には手をつけたくないと、達哉は大学の授業料以外はカードを使わないようにしていた。

達哉は父と半年以上会っていない。

「居酒屋のバイト休むことになったら、俺の家に来てみるか?」
達哉の言葉にみわは目を丸くする。

「変な想像してんなよ?」
そう言って笑う達哉。
「俺がどんなとこで生活してるか、俺に興味ない?」
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