儚く甘い
「よし、デザートのアイス、買ってくる!」
そう言って達哉は立ち上がる。
「ありがとう」
一緒に行くと時間がかかってしまうとわかっているみわは座ったまま達哉にひらひらと手を振る。

「いつものだろ?」
「うん」
学食で販売しているミルクアイスがみわのお気に入りだ。
達哉はみわにはアイス、自分にはブラックコーヒーを買って食後のひと時を過ごすのが好きだ。

微笑みながら手を振り、大学の屋上の扉から出ていく達哉。
その背中に手を振りながら見送ったみわ。

達哉が見えなくなった瞬間、背中側にあった屋上のフェンスに寄りかかる。
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