儚く甘い
「だからこそ、決断してくることができなかった。妹の命の責任を、そこまで懸けておえないくらいのリスクだって、躊躇してたんだ。」
隆文はみわの方を見つめながら、自嘲気味に笑う。

「頼りない兄貴だよな。偉そうに妹の体を実験体にして、何も変えられてないのに。」
「・・・」
「でも今日、君の声を聞いて目を覚ましたみわを見て、乗り越えてくれるんじゃないかって希望を見たんだ。自分が生きることよりも、のこされる人のことばかり考えていたみわが、生きようってどん欲になれているような気がしてるんだ。今までになく。」
達哉の方を見る隆文。

「妹に、希望を与えてくれて君には感謝してる。ありがとう。」
深く深く頭を下げる隆文。
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