儚く甘い
「みわは俺たちに託してたんだ。自分の未来の姿を想像して、もしも、君の前に自分が来ることができない未来が待っていたら、この手紙を君に渡してほしいって。」
隆文は達哉に握らせた封筒を見る。

「渡米する前に俺が預かってた。」
達哉は手に握っている封筒をそっと撫でる。

「妹がこの場所に来られる未来を作れなくて、ごめん。すまない。」
隆文が深く深く頭を下げる。

「みわは・・・・今どこにいるんですか?」
「病院にいる」
「まだ、具合が?」
「・・・体は治ったんだ。」
隆文の言葉に、どうして会えないのかが何となく見えて来た達哉。

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