儚く甘い
「意識は?」
「ある」
「・・・」
みわの病気のことを達哉なりに勉強した。

みわが受ける手術のことも、その後の後遺症についてもある程度の知識はある。

「どの程度、覚えてるんですか?」
「・・・」
達哉の確信をつく質問に思わず黙る隆文。

「約束したんだ。たとえ生きていても、君を君だとわからないような自分なら、絶対に会わせないでほしいと。君が未来に進めるように。」
隆文が辛そうに達哉に言う。

「彼女をのこして、未来に進めと?」
達哉の言葉に何も返せない隆文。
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