儚く甘い
病に苦しむ妹をそばで見つめながら、何度も願った。

『もしも私が病気を克服できたら、1年後。達哉に会うって約束したの。』
本当に妹が望んでいるそんな未来が手に入ることを。


でも、みわは忘れてしまった。
記憶障害を背負って一生生きていくことになってしまった。

結局、自分は妹を病から救うことができなかった。
生きることを得た代わりに妹が背負ってしまった代償は想像をはるかに超える過酷なものだった。


父を失った病に、結局自分は負けた。
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