儚く甘い
『達哉がいてくれたから、私の人生は幸せで誰にも負けないくらいのまぶしいものになりました。病気は嫌だけど、達哉と出会えるならもう一度”私”に生まれ変わりたいって思えるくらい、幸せだったよ?でも私のせいで、達哉の残りの人生の輝きや可能性を奪ってしまったら、悔やんでも悔やみきれません。達哉の人生も、これから先もずっとひかり輝く希望で満ちたものであってほしい。これが私の願いです。』

達哉の瞳から次々に涙があふれ出す。

『約束という言葉で、またあなたの人生を縛ってしまうような気がして嫌だったけれど、どうしてもお願いしたいことがあります。達哉、どうか幸せになってください。未来を見て、幸せになるための希望も、小さな糧も、どん欲につかんで、絶対に絶対に幸せになってください。そして、いつかどこかでまた会えたら、『すっごい幸せな人生だった』って私にその人生を教えてください。そんな未来を想像するだけで私は希望を抱いていられます。達哉、大好きでした。愛していました。だから、ここでさようならさせてください。さよなら、達哉。     みわ』

両手を強く握りしめながら、達哉はそっと手紙を胸に抱きしめた。
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