儚く甘い
みわが達哉の方に体を向けた瞬間・・・

達哉はゆっくりとみわに近づく。


車いすの前に膝をつき、みわがおびえないように気遣いながら、その手をそっと握る。

じっとみわを見つめる達哉の瞳は不安と安堵に満ちている。

触れた手のぬくもりに、達哉はこらえていたものがあふれ出す。


みわに涙を見せないように、みわの温かな手を握ったままうつむく達哉。
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