儚く甘い
達哉がめんどくさそうにみわに近づき、みわの手から煙草を奪うと自分の口にはさみ、みわの背中をとんとんとたたく。
「ゆっくり息しろ。」
それでも咳込みが止まらないみわ。

達哉はポケットから水のペットボトルを出すと、キャップを開けてみわに渡す。

「ほら」
みわは、ペットボトルを預かると水を口に含み、少し口をすすぐようにしてから吐き出す。
みわの背中をトントンとたたく達哉。

その背中は骨がごつごつと浮き上がっていて、明らかに出会ったあの日よりも痩せていることに気づく。

屋上で死のうとしているみわと出会ってから、半月が経とうとしていた。
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