儚く甘い
「なにがいいの?」
やっと呼吸が落ち着いたみわが、達哉の方を見る。
「意味なんてない。」
「なに、そのクールぶった感じー。」

ここは大学の屋上。
2人が初めて話をした場所。
ちゃんと出会った場所だ。

あの日みわが乗り越えた手すりに二人は並んでいる。

達哉は新しい煙草に火をつけて再び、吸い始めた。

隣にくっついてくるみわの反対側に煙草を持ち、煙を吐き出すときも、反対側を向いて吐き出す。
< 45 / 356 >

この作品をシェア

pagetop