儚く甘い
「毒じゃん」
言葉数の少ない達哉の分もみわが話を続ける。

「自分の体に毒を入れて、痛めつけてるみたい。」
みわが自分の方に視線を向けていても構わず煙草を吸う達哉。

「その毒、私にもちょうだい」
また不意にみわが行動にでる。
達哉の頬に手を伸ばし、自分の方を向ける。
「なんだよ」
不機嫌にそう口にする達哉の口から煙が吐き出される。

みわは達哉に寄りかかりながら精一杯背伸びして、達哉が吐き出した煙に口を近付けて煙を吸い込んだ。

「私にもその毒、わけてほしくて。」
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