儚く甘い
いつも誰かの真ん中にいるみわは、無邪気にけらけらと笑っている。
でも、今、達哉の頬をつかんで、達哉から吐き出された煙草の煙を吸い込むみわは、いつもとは全く違う表情をしている。

あの日も同じだった。

今にも消えそうな儚さを含んだ表情。

思わず声をかけて、思わずその手をつかんだ。
あの日と同じ表情だった。

達哉はみわから視線をそらせなかった。

「なーんてね」
ごまかすように笑って達哉から手を離し離れようとするみわ。
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