儚く甘い
悪いものを体に入れると、そのあとに吸い込む絶望だらけのこの世界の空気が少しはましに思えた。

退屈で、つまらない毎日。

生きる理由はもう、ひとつしか残されていない。

約束を果たすまではこの世界に居なければならない。

生きていくために、自分の感覚を麻痺させるしかなかった。


『苦い毒の味を知った後は、こんな世界の空気でもおいしいって感じるのね。』

「確かにな」
みわの言葉を思いだしながら、つぶやいた言葉にみわが達哉の方を見る。
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