儚く甘い
まただ・・・

達哉から離れると、今まで知らなかったような大きな喪失感に包まれる。
みわは初めて感じる感覚が不思議で仕方ない。

『ピピピッ…ピピピッ』
鳴り出した携帯電話のアラームに、みわは現実に引き戻される。

自分のリュックからケースを出して薬を出す。
錠剤を口に含み、飲み込む。

「水は?」
みわを見ていた達哉が思わず声をかける。
「心配してくれてるの?」
いたずらに微笑みながら達哉を見上げたみわは錠剤が変なところに入ってむせる。
< 56 / 356 >

この作品をシェア

pagetop