儚く甘い
「迷うくらいなら辞めとけば?別にあんたの人生だから、あんたの自由だけど。」
「・・・」
何も言えないまま男の方を見るみわ。

「俺、ここで昼寝するの好きなんだわ。これからあったかくなって、一番いい季節だったから、残念だけどな。ここに来るたびにあんたを思い出して、悪い夢見そうだから、もう来れないな。」
「・・・」
「てか、ただでさえいやいや通ってる大学に、来ない口実になるかもな、あんた。目の前で死なれてみろよ。嫌だろ、あんただって。」
視線を合わせないまま話す男は、もう一度煙草に口をつけて大きく息を吸い込む。

なぜか・・・
自分の体にわざと毒を送り込んで、痛めつけようとしているように見える。

その時・・・
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