儚く甘い
「で?どうすればいい?」
男は力が入らないみわの体を支えたまま、みわに聞くのだった。


アラームが知らせたのは薬を飲む時間だった。
毎日、アラームが鳴るたびに薬を飲まないとならない。
まだ承認されていない新薬。
この薬がないと動けなくなってしまうみわの体。

男はみわの体を簡単に抱き上げて、みわのリュックが落ちている場所へ運んだ。
言われるままに、みわのリュックからケースを出してそこから薬を一錠取り出す。

みわの手にはほとんど力が入っていなくて、男は仕方なさそうに薬をみわの口に運んだ。

大きめの錠剤をなかなか飲み込めないみわに、男は自分が飲みかけていた水のキャップを開けて、みわの口に近づける。
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