儚く甘い
絶望の中の光
乱暴に開けられた屋上の扉。
寄りかかっていたみわの体が簡単に動く。
そこに現れたのは息を切らした達哉だった。

泣きじゃくっているみわはまるで子供のようだった。

思わずみわの前に膝をつき体を抱きよせる。
今にも消えそうな、華奢すぎるみわの体。

全身を震わせながら泣くみわ。

達哉はありったけの力を込めてみわを抱きしめる。
そうしないと、今にも消えてしまいそうだった。

ありったけの力で抱きしめながら、達哉は超えてはいけないテリトリーを越えたような気がしていた。
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