儚く甘い
胸の中で子供のように泣きじゃくるみわを抱きしめたまま、時だけが過ぎていく。

ずっとみわの携帯電話が鳴り続けている。

しばらくして、みわは少しずつ落ち着きを取り戻してきた。


それでも、達哉はみわを離さない。
抱きしめ続けてくれた。

『ピピピッ…ピピピッ』
みわの携帯電話から着信音ではない音が聞こえる。

この音が鳴るとみわが薬を飲むことを知っている達哉。
ピクリと体を動かすと、みわは離れないでほしいというかのように達哉の背中に回す手に力を込めた。
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