あ〜あ、本当に知らねえからな。
俺は思わず声を出してしまった。


窓の隙間から入る風にサラサラとなびくセミロングの髪に、
夕日に照らされてさらに綺麗な女子は、


「あ、神楽くん!」


幼なじみで俺が長年片想いしている、宮野恋雪(みやのこゆき)だった。


今日もふわふわとした笑顔が可愛い。


「み、宮野じゃん。何やってんの?」


緊張で声は震えてしまう。


中学生になってから恋雪と話すとやけに緊張してしまって、うまく話せない。


さらに、可愛く表情を変化させる恋雪を見るたびニヤケを隠すので必死。


「私? 今勉強してたの。ちょっと話したい人がいて、その人を待っているんだ。」


『私?』って首を傾げる仕草さえ愛しい。


そういえば、話したい人って言った? それって男?


男だったらすごく嫌。


恋雪自身はモテないと思っているらしいけど、陰で男子からすごく人気がある。
『守ってあげたくなる』とか『ふわふわしていて可愛い』とか、
男子が色々話しているのを何度聞いたことか。


「……へ、へぇ〜。」


やばい、動揺が抑えられなくて愛想が悪い感じになっちゃったかも。


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