あ〜あ、本当に知らねえからな。
俺にもとうとう限界が来て、小学校の卒業式の日に恋雪に
『今まで避けててごめん。また恋雪と話したい。』と言った。


『うん……! いいよ! これからよろしくね、神楽くん。』
と快諾してくれた時は本当に嬉しかった。


また恋雪の笑顔を見て、
『あぁ、まだこの笑顔を見続けたい』
『恋雪を大事にしたい』とも思った。


******


……やっぱり恋雪が誰と話しているのかが気になるのが本音。


そう簡単に十年にも及ぶ初恋を終わらせる訳にはいかない。


俺は気づいたら教室を出て、恋雪がかけていったほうへと走っていた。


「……レン、私も!」


俺は屋上の一歩手前にいる。


廊下から恋雪の声が聞こえて、たどり着いたのが屋上。


レンって、やっぱり男なのか? 恋雪が告白したのか?


そう考えるととても辛い。


俺は恋雪でいっぱい。
一緒に遊んでいたときも、避けていたときも、ふとした時には恋雪しか考えていない。


……まぁ、そうだよな。


昔は仲が良かった幼なじみとはいえ、
一時期避けられていたヤツのことはそう簡単に好きにならないか。


うん、しょうがない。
これが恋雪の選んだ道なんだから、それを応援するしかない。
……応援できるまでにはかなりの時間がかかると思うけどな。


「じゃあ、そろそろ教室に戻るね! バイバイ!」


恋雪の声はやけに明るい。
きっと想いが伝わったんだろうな。


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