ねこのひるねの、ひとりごと

桜、なんで折れてるの?

何年前になるかな。
携帯を落として、旦那様を拾った同僚と「造幣局の桜の通り抜け」に行った。

変わった桜が沢山見られる。
喜んで出掛けて、人の多さと埃っぽさ、ぞろぞろと繋がって歩くだけで、見たい桜をゆっくり眺めて、楽しむことも出来なかった。

確かに、仕事帰り。人出は多くて当たり前かも知れない。

でも、それよりも。

一枝欲しかったのか、ただ単に一興でなのか。
低い枝が引きむしられて、だらんとたれさがった桜の木がちらほら。

「痛いよ。引っ張らないで。一生懸命咲くから。」
桜はそう言っただろう。

「桜は切ったらあかんねん。そこから腐ってしまうからな。」
教えてくれたのは祖母だったか?

"桜切る馬鹿、梅切らず馬鹿”

コロナで集まってする花見は難しくとも。
「桜の名所」まで行くことは出来なくとも。

いつも歩く道すがら。
何処かに花咲く桜はない?

見てくれなくても精一杯、置かれた場所で咲いている。
そんな桜をそっと愛でて。
「今年も、咲いてくれてありがと。」

そっと桜の幹に触れ、満開の花を眺める。

そんな静かな花見の年も、あっていいのではないだろうか。

だって花見の目的はその刹那にしか咲かない美しさを楽しむこと。

じっくりとさくらを愛でて、しっかりと散歩を楽しんで。
お腹が「くぅ~」とないたなら。

今日は、お花見。

ちょっとお高い桜餅でも張り込んで。
熱い緑茶を飲みながら。
家族それぞれが出会ったさくらの話をしよう?

ひとつとして同じではないから。
ゆっくりと。聴いてみよう。

ゆったりと。聴かせてあげよう。

自分しか出逢えなかったさくらのこと。

それは。
今しか感じられない感情(モノ)だから!

「さくらいろ」
昔の人はなんて素敵な色の名をこの花に与えられたのだろう!
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