『 最後から、始まる。 』~卒業~ きみと過ごす残り1ヶ月

パチパチパチパチ…



最後まで弾き終わったら

手が震えた



「ごめん…途中躓いちゃって…」



「ありがと…

浅倉が頑張って弾いてくれたから
オレも頑張れる」



杉山

先生に抱きしめてほしいかな?



ごめんね

私が先生じゃなくて



そっと

杉山の手を握った



「杉山、頑張ってね」



言った瞬間

抱きしめられて

ビックリした



「杉山…私、先生じゃないよ」



「うん、そんなの知ってるよ
浅倉でしょ」



杉山に

求められてる気がして

嬉しかった



私も杉山の背中に

そっと手を回した



「先生は、抱きしめ返してくれなかった」



杉山の寂しそうな声が聞こえて

もっと強く杉山に抱きしめられた



杉山

先生のこと

まだ好きなんだろうな…



ごめん

私で



「先生は、もぉいないけど
一緒に、頑張ろうね…」



「うん…」



昼休みの音楽室

杉山と強く抱き合った



一緒に…



だけど

私と杉山の気持ちは

一緒じゃない



杉山はまだ先生が好きで

私に先生を重ねてるのかもしれない



そう思うと複雑な気持ちだった



杉山

私はね

杉山のことが…


杉山のことが好きなんだ


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