『 最後から、始まる。 』~卒業~ きみと過ごす残り1ヶ月
卒業からの1ヶ月

「今日、買い物って?
何買うの?」



「新生活で必要な物
まだ何も準備してないんだよね」



「私、荷物あったら持つよ」



「ホント?
テレビとかベッドとか買うけど…」



杉山が笑った



走り終わった時の笑顔だ

なんか嬉しくなった



卒業式の次の日

卒業したのに

杉山と会ってる



最後のはずだったのに

終わりのはずだったのに



別れ際

杉山が買い物手伝って!って言うから…



「じゃあ冷蔵庫は杉山持ってね」



「残念、冷蔵庫はアパートに備え付け」



杉山がまた笑った



もぉ見れないと思ってた笑顔



「浅倉はなんか買い物ない?」



「んー…
スマホ変えたからスマホケースほしいかも」



「オレもスマホケース欲しいかも」



もぉすぐ見れなくなる

もぉすぐ会えなくなる

杉山



「杉山とこんなに話すの初めてだね」



「うん、そーだね」



杉山とゆっくり目が合った



こんなふうに穏やかに目が合うのも

初めてだね



「浅倉、なんか今日、雰囲気違うね」



「杉山だって…」



「ふたりとも制服じゃないからか…」



「そーだね…」



もぉ私たちは

制服じゃない



「髪、かわいいよ
なんか大人っぽくて…」



気付いてくれた



「ちょっと、巻いてみた」



先生みたいに…

それは言わなかった



杉山は大人っぽい方が好きかな…って



「でも、いつもの浅倉もかわいかったよ」



なんで?

そんなこと

言わなくていいのに



私、昨日言ったじゃん

杉山なんて大キライ!って


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