『 最後から、始まる。 』~卒業~ きみと過ごす残り1ヶ月

私の帰りの荷物は

スマホケースだけだった



「杉山、買い忘れないの?」



「ないかな…」



杉山がスマホのメモ機能をチェックした



じゃあ

コレでバイバイ?



「浅倉がスマホケース選ぶの早過ぎたから
もぉ終わったじゃん
もっと時間掛けろよ」



「え…」



「浅倉がまだ大丈夫だったら
どっか行かない?」



ふたりで立ち止まった場所が

たまたまホテルの前だった



あ、そーゆーことか…



「うん…いいよ…」



それしか

私達、一緒にいれないもん



「オレ、カラオケ行きたい」



「カラオケ?」



杉山はホテルの前を素通りした



あ、そっか…

すぐに理解した



カラオケでも

できるもんね



「浅倉の歌、聴きたいから」



「え…
ふたりでカラオケとか
絶対盛り上がんないよ」



「オレ、絶対盛り上げる自信ある」



「ホントに?」



「ホント、ホント…」


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