『 最後から、始まる。 』~卒業~ きみと過ごす残り1ヶ月
「あのさ…浅倉…」
「ん…なに…?」
「みんな、見てる」
「え…」
周りがザワザワしてた
「なに…?」
「女の子、泣いてるよ」
「今、キスしたよね?」
「見て!男の子めっちゃイケメン♡」
「別れ話?」
「別れるなら私にくれ!」
駅の片隅だった
「杉山、恥ずかしい…」
「それ、オレのセリフだから…」
3月の夜風
まだ冷たいのに
熱くなる
杉山に抱きしめられた
「杉山…熱い…」
「うん…オレも…
人がいなくなるまで、ちょっと我慢して…」
杉山
隠してくれてるんだ
「好きだよ、オレも…浅倉のこと
離れても、離さない」
杉山の声
私の耳元で聴こえた
私にしか聴こえない
杉山の気持ち
耳元から
口元を
杉山がなぞった
ーーー
重なった杉山の唇から
漏れる息
「好き…浅倉…」
ーーーーー
「杉山、私も好きだよ」