追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 ブラックスピネルは、雄々しい黒狼。なににも染まらぬ漆黒はあらゆる魔を寄せ付けない盾となる。
 ムーンストーンは、全知の白梟。夜の闇を切り裂く白き翼は、邪悪を滅する槍となる。
 形と性質を決めると宝石にフウッと息を吹きかけた。
 すると、髪飾りとペンダントから光の粒子が溢れ、次の瞬間、目の前に艶やかな毛並みの黒狼と円らな瞳の白梟が現れた。

「やった! 成功だわ!」

 嬉しくて叫ぶと黒狼と白梟がビクッと震えた。

「あっ、ごめんね。びっくりさせちゃったね。私、ララ。これからよろしく!」

 初対面なので軽い挨拶をしたけれど、たぶん言葉は通じない。でも、何事も最初が肝心だよね。

「主殿、こちらこそよろしく」

 私の考えを全否定して、低音ボイスで黒狼が言った。
 ……言葉が通じないだなんて、一体誰が言ったのか? 創造魔法がチート級なのは知っていたけれど、まさか言語を解する守護獣を生み出してしまうとは。我ながら恐ろしいわ。

「わあ、すごい。話せるんだね」

 興奮して言うと、白梟がバサッと得意げに羽を広げた。
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