追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「謝らなくていいよ」
優しく私の手を引くと、ディオは一歩踏み出した。
すると、うまく歩けなかった人の波が、驚くくらいスムーズに進める。
ディオは、右に左にと体を揺らし、器用に人にぶつからずに歩いていた。ここで暮らしているゼクスならまだしも、グリーランドで引きこもっていたディオがこんなに器用に歩くなんて。いや、ひょっとしたら、私がどんくさいだけなのかも、と思い直し少しだけへこんだ。
大きなディオの背に守られながら進むと、やがてどこかの建物の中に入った。
そこには丸テーブルがいくつもあり、多くの人が、楽しそうに飲み食いしている。視線を彷徨わせると、奥のテーブル付近にいたゼクスを見つけ、私とディオは急いでそこに向かった。
「ひとまずお疲れ様でした。ここにいれば一応は安心です」
「そうだな」
私たちが席に着くと、鮮やかな衣装の女性が、ジョッキを三つと豆のような物が入った皿を持って来た。ジョッキの中身は水のようだけど、仄かにアルコール臭がする。あ、そうか、ここは酒場なんだ。
「私はソラスで酒場を経営しているのですよ。情報が集まりやすいのも、情報を漏らしやすいのも酒場ですからね」
優しく私の手を引くと、ディオは一歩踏み出した。
すると、うまく歩けなかった人の波が、驚くくらいスムーズに進める。
ディオは、右に左にと体を揺らし、器用に人にぶつからずに歩いていた。ここで暮らしているゼクスならまだしも、グリーランドで引きこもっていたディオがこんなに器用に歩くなんて。いや、ひょっとしたら、私がどんくさいだけなのかも、と思い直し少しだけへこんだ。
大きなディオの背に守られながら進むと、やがてどこかの建物の中に入った。
そこには丸テーブルがいくつもあり、多くの人が、楽しそうに飲み食いしている。視線を彷徨わせると、奥のテーブル付近にいたゼクスを見つけ、私とディオは急いでそこに向かった。
「ひとまずお疲れ様でした。ここにいれば一応は安心です」
「そうだな」
私たちが席に着くと、鮮やかな衣装の女性が、ジョッキを三つと豆のような物が入った皿を持って来た。ジョッキの中身は水のようだけど、仄かにアルコール臭がする。あ、そうか、ここは酒場なんだ。
「私はソラスで酒場を経営しているのですよ。情報が集まりやすいのも、情報を漏らしやすいのも酒場ですからね」